会社員の節税はこれだけでいい:NISA・iDeCo・ふるさと納税

お金の教養

副業も法人もない。普通の会社員が「節税」と聞いても、「自分には縁のない話だろう」とスルーしていませんか。

実は、会社員が節税できることはたった3つに絞られます。新NISA・iDeCo(または企業型DC)・ふるさと納税。この3つを押さえれば、会社員としての節税は「やり切った」と言える状態になります。

私自身、新NISAで月30万円・企業型DCで月5.5万円・ふるさと納税で年間約13万円を活用しています。2024年から本格的に運用を始め、今では3つすべてを使い倒した状態です。難しい手続きなしに、年間数万円から十数万円の節税効果が出ています。

この記事では、3つの制度の仕組みと私の実体験、そして「どれか1つから始めるならどれか」を整理します。読み終わるころには、今日のうちに1つ動き出せます。

会社員が使える節税制度のイメージ

会社員が使える節税はそもそも限られている

最初にはっきり言っておくと、会社員(給与所得者)が使える節税手段は自営業者と比べて少ないのが現実です。

自営業者は、仕事に使った経費を収入から差し引いて課税対象を減らせます。パソコンも通信費も、場合によっては家賃の一部も経費にできる。しかし会社員は、基本的に経費計上ができません。「スーツを仕事で使っているのに経費にならないのか」というモヤモヤは、会社員なら誰でも感じたことがあるはずです。

では会社員はどうするか。答えは「制度を使い倒す」しかありません。

会社員が使える節税制度を整理すると、確実に使えるものはそう多くありません。

制度 節税の種類 効果のタイミング 始めやすさ
新NISA 運用益が非課税 売却時(将来) 中(証券口座が必要)
iDeCo・企業型DC 掛金が全額所得控除 拠出した年から 中(口座開設に1〜2ヶ月)
ふるさと納税 住民税・所得税控除 翌年の住民税から 高(スマホのみ・当日から)
医療費控除 医療費の所得控除 確定申告後 低(確定申告が必要)
住宅ローン控除 税額控除 入居した年から 中(初年度のみ確定申告)

このうち、住宅ローンも持たず、医療費も年10万円を超えない一般的な会社員が確実に使えるのは上の3つです。逆に言えば、この3つを押さえれば「使えるものは全部使った」と言える状態になります。

節税1 | 新NISA──将来の運用益がまるごと非課税になる

coins and plant growing from soil representing investment growth

新NISAは「投資の利益に税金がかからなくなる」制度です。

通常、株や投資信託で利益が出ると約20.315%の税金がかかります。100万円の利益が出ても手元に残るのは約80万円。新NISAを使えばこの税金がゼロになります。年間360万円まで非課税で投資でき、生涯の非課税投資枠は1,800万円です。

新NISAの2つの投資枠

新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類があります。両方を同じ年に使えるのが旧NISAとの大きな違いです。

投資枠 年間上限 対象商品
つみたて投資枠 120万円(月10万円) 金融庁が認定した低コストの投資信託
成長投資枠 240万円(月20万円) 上場株式・ETF・投資信託など
合計 360万円/年(生涯1,800万円)

私の新NISA活用状況:月30万円・S&P500一本

私は2024年1月の新NISA制度開始と同時に楽天証券でスタートして、現在(2026年5月)で約2年3ヶ月が経ちます。

  • つみたて投資枠:月10万円 → 楽天・プラスS&P500
  • 成長投資枠:月20万円 → 楽天・プラスS&P500
  • 合計:月30万円(年間360万円の上限をフル活用)

月30万円のうち、給与から捻出しているのは約20万円です。残り10万円は、以前から特定口座で保有していた投資信託を少しずつ売却してNISA口座に移し替えています。2026年5月時点での含み益は、つみたて投資枠が+31%、成長投資枠が+41%です。

正直な話をすると、新NISAの節税効果はすぐには実感できません。積み立てている間は税金を引かれる機会そのものがないため、「得した」という感覚は薄い。節税効果が数字として現れるのは売却するときです。ただし、長期間複利で運用した結果に約20%の税金がかかるかどうかは、金額として大きな差になります。運用益が1,000万円あれば、税なしで1,000万円、税ありなら約797万円。差額は200万円超です。何年も先の話ですが、それだけの金額が変わります。

詳しい運用状況や銘柄選びの考え方は、新NISAポートフォリオ公開の記事で解説しています。

節税2 | iDeCo・企業型DC──掛金が全額所得控除になる

新NISAと決定的に違う点があります。iDeCoの節税効果は、掛金を入れたその年から確実に現れます

iDeCoに拠出したお金は全額「所得控除」の対象になります。所得控除とは、課税対象となる収入を減らす仕組みです。月2.3万円を拠出すれば、年間27.6万円分の収入には税金がかからなくなる。投資がうまくいくかどうかに関係なく、拠出した時点で節税額が確定します。これが「確定リターン」と言われる理由です。

年収別・iDeCoの節税シミュレーション

所得税率と住民税率を合算した「合計税率」によって、節税額は変わります。会社員の場合の目安は以下のとおりです。

年収の目安 合計税率 月2.3万円拠出の年間節税額 30年累計節税額
約400万円 15% 約4.1万円 約123万円
約500〜600万円 20% 約5.5万円 約165万円
約700〜800万円 30% 約8.3万円 約249万円

年収500万円前後の会社員が月2.3万円を拠出するだけで、毎年約5万円の節税が確実に手に入る計算です。これは運用成績に関係なく発生します。

さらに、iDeCoは節税が3段階で重なります。

  • 拠出時:掛金が全額所得控除 → 今すぐ税金が減る
  • 運用中:運用益が非課税 → NISAと同じ
  • 受取時:退職所得控除または公的年金等控除が使える → 受け取るときも優遇

NISAの「運用益非課税」の一段階に対し、iDeCoは3段階の優遇を受けられます。

企業型DCがある人はまずそちらを確認する

勤め先に企業型確定拠出年金(企業型DC)がある場合は、個人でiDeCoを別途開設する前に、まず企業型DCの上限まで活用することを検討してください。企業型DCは会社が手数料を負担してくれるケースが多く、個人で開設するiDeCoより手数料面で有利なことが多いです。

私の場合は企業型DCに月5.5万円を拠出しています。S&P500インデックスファンドで運用中です。2018年から加入していましたが、長らく月1,000円で元本保証商品に入れているだけでした。2023年に資産運用の勉強を始めてから拠出額を上限まで引き上げ、運用商品もS&P500に全額切り替えました。約5年間のロスは今思えばかなりもったいなかったと感じています。

iDeCoとNISAのどちらを先に始めるべきかについては、NISAとiDeCoどっちを先にやるべきかの記事で年収別にくわしく解説しています。

2026年12月からiDeCoの上限が大幅に引き上げられる

現在、企業年金なしの会社員がiDeCoに拠出できる上限は月2.3万円(年間27.6万円)です。しかし、2026年12月の法改正により、2027年1月の引落しから月6.2万円(年間74.4万円)に引き上げられます

合計税率20%の人が月6.2万円を拠出した場合の年間節税額は約14.9万円。現行の約5.5万円から約2.7倍になります。改正前から始めておくことで、毎年の節税効果を着実に積み上げられます。なお、口座開設には1〜2ヶ月かかるため、早めに動くことをおすすめします。

節税3 | ふるさと納税──2,000円の自己負担で返礼品がもらえる

3つの中で一番とっつきやすいのがふるさと納税です。証券口座も不要、複雑な手続きもなし。スマホで選んで買い物するだけです。

ふるさと納税の仕組みをひと言で言うと、「来年払う予定の住民税を今年先払いして、返礼品をもらう制度」です。上限額以内で寄付すると、自己負担は2,000円のみ。残りは翌年の住民税・所得税から控除されます。

私のふるさと納税実績:年間約13万円

私は毎年、上限に届くよう逆算して寄付しています。去年は合計約13万円分の寄付をしました。返礼品は食材中心で選んでいます。今年は自分用の米と、贈り物に使える肉系の返礼品を探しているところです。

「どんな返礼品を選ぶべきか」については、ふるさと納税の返礼品選びの記事で一人暮らし向けの選び方をまとめています。消耗品で失敗した体験もそちらに書いています。

ワンストップ申請を使えば確定申告が不要

ふるさと納税を敬遠している人の多くが「確定申告が面倒そう」という理由です。しかし、給与所得のみで年間5自治体以内への寄付なら、ワンストップ特例制度で確定申告が不要になります。

ワンストップ特例制度を使うと、翌年1月10日までに申請書を各自治体に郵送(または楽天ふるさと納税などでオンライン申請)するだけで、翌年の住民税から自動的に控除されます。手続きはこれだけです。

寄付上限額の目安

ふるさと納税には「上限額」があります。上限を超えた分は全額自己負担になるため、事前に確認が必要です。年収別の概算上限は以下のとおりです(独身・社会保険料のみ控除の場合)。

年収(目安) 寄付上限額(概算)
400万円 約42,000円
500万円 約61,000円
600万円 約77,000円
700万円 約108,000円
800万円 約129,000円

なお、iDeCoや住宅ローン控除などの控除が多い場合、ふるさと納税の上限額が下がることがあります。さとふるのシミュレーターで正確な上限額を確認してから寄付しましょう。

3つをどの順番で始めるべきか

「全部やる」が理想ですが、最初からすべてを同時に動かすのは大変です。優先順位の考え方を整理します。

私が始めた順番と実感

私はNISA・ふるさと納税・企業型DCをほぼ同時期に始めました。2023年に資産運用の勉強を集中的にしていた時期に、まとめて理解してほぼ同時に動かした形です。

今の実感から逆算すると、始めやすさと即効性のバランスで最初に手をつけるべきはふるさと納税だと思います。

制度 始めやすさ 節税の即効性 長期効果
ふるさと納税 高(スマホのみ・当日から) 高(翌年の住民税に反映)
iDeCo・企業型DC 中(口座開設に1〜2ヶ月) 高(その年の税金が確実に減る)
新NISA 中(証券口座が必要) 低(売却時まで効果は見えにくい) 高(額が最も大きくなる可能性)

ふるさと納税は翌年の住民税から控除されるため、「節税できた実感」が最も早く得られます。「節税」という行動のファーストステップとして最適です。

iDeCoは口座開設に時間がかかるため、早めに申し込みを開始しておくことをすすめます。特に年末が近い時期から動くと、その年の控除に間に合わないことがあります。

どれか1つだけしかできないなら

  • 今すぐ手軽に始めるなら:ふるさと納税(ワンストップ申請で確定申告不要。今夜でも始められる)
  • 今年の税金を確実に減らすなら:iDeCo(早めに口座開設。拠出した年から節税効果が確定する)
  • 長期の資産形成なら:新NISA(額が最も大きくなる可能性がある。早く始めるほど有利)

私の正直な意見を言えば、3つの中で「今すぐ始めていない制度があれば即動くべきもの」はふるさと納税です。iDeCoとNISAは証券口座や手続きが必要ですが、ふるさと納税は今夜にでも寄付できます。上限額さえ確認すれば、あとはショッピング感覚で選ぶだけです。一番節税の「実感」が早く得られるのもふるさと納税です。

「順番に」より「同時に動かす」ほうが全部早く稼働する

「まずふるさと納税から覚えて、次にNISA、最後にiDeCo」と順番に考えると、全部が動き出すまでに時間がかかります。

私がおすすめしたいのは、一番時間がかかる手続きから先に動かすという考え方です。

3つの中でiDeCoだけは、口座開設に1〜2ヶ月の待ち時間が発生します。申込書を出してから実際に拠出が始まるまで、どうしても時間がかかる。

であれば、まずiDeCoの申込を出す。そして承認を待っている間にふるさと納税を済ませる。NISAは証券口座があれば当日から動かせます。

  • iDeCoの申込書を提出する(口座開設に1〜2ヶ月かかる)
  • 待っている間にふるさと納税を完了させる
  • 証券口座があればNISAも並行してスタートできる

「1つ終わらせてから次へ」ではなく、同時並行で動かす。3つを最短で全部稼働させるなら、この順番で動くのがいちばんラクです。

まとめ:会社員の節税はこの3つで十分

会社員が使える節税手段をまとめると、難しいことを考えなくてもこの3つで十分です。

  • 新NISA:長期の運用益を非課税にする。今すぐ効果は見えないが、額が最も大きくなる可能性がある
  • iDeCo・企業型DC:掛金が全額所得控除になる。今年の税金が確実に減る
  • ふるさと納税:住民税の先払いで返礼品がもらえる。ワンストップ申請なら確定申告不要

3つとも「知っているかどうか」だけで年間数万円の差が出ます。使っていない制度があれば、今日確認してみてください。

あわせて読みたい:資産運用の考え方を深めるおすすめ本

制度を知ったら、次は「なぜ続けられるか」の考え方が支えになります。実際に読んで行動が変わった本を4冊紹介します。

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【免責事項】本記事は個人の体験・見解をもとにしています。特定の金融商品・投資・節税方法を勧誘するものではありません。制度の詳細・最新情報は各公式サイトでご確認ください。※情報は2026年5月時点のものです。

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