株主優待をやめた3つの理由:ANA株が教えてくれたこと

資産運用

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「株主優待をやめた理由は何ですか?」と聞かれると、「お得なのになぜ?」と驚かれます。航空券が半額になる、食事券がもらえる──投資の入口としてよく紹介される選択肢ですから、当然かもしれません。

私も2022年からANAをはじめ4銘柄の優待株を保有していましたが、1年後には楽天グループを除いてほぼすべてを手放しました。株主優待をやめた理由は損益の話ではなく、「損をしていないのになぜか消耗していた」という実体験から来ています。

NISA積立歴4年・運用資産1,500万円超の会社員投資家として、インデックス投資に一本化した今だからこそ正直に書きます。

この記事を読むと、優待株を続けるべきか・やめるべきかの判断基準が整理できます。以下のような方に特に参考にしてほしい内容です。

  • 優待株を始めようか迷っている
  • 続けているけれどなんとなく消耗している気がする
  • インデックス投資と優待株のどちらがいいか整理したい

株主優待やめた理由のイメージ

株主優待に興味を持ったきっかけ

投資を勉強し始めると、ほぼ必ずたどり着くキーワードが「株主優待」です。

「100株持っているだけで食事券がもらえる」「航空券が半額になるチケットをもらえる」──初心者向けの投資サイトや動画を見ると、こういった内容が目に入ってきます。

私が株主優待株に興味を持ったのも、投資の勉強を始めた最初の頃でした。当時は高配当株や優待株が「株式投資の入口」として紹介されることが多く、「せっかく株を持つなら、お得な優待があったほうがいい」と素直に思っていました。

最初に買ったのがANAホールディングス(9202)です。航空券を50%割引で購入できる優待券がもらえるということで、年に数回は飛行機を使う私には魅力的に映りました。2022年9月に100株を約27.5万円で購入しました。

その後、ヤマダホールディングス(家電量販店の優待)、タカラトミー(玩具・ゲームの割引)、SPK(カタログ商品)と、「使えそうな優待がある銘柄」を次々と買い増していきました。

そして1年ほどが経ち、楽天グループを除くすべての優待株を手放すことにしました。株主優待をやめた理由は、3つにまとめられます。

やめた理由①:優待を使うために行動が縛られる

expired coupon and calendar with deadline marked

株主優待をやめた理由として最も大きかったのは、「優待を使うために行動が縛られる」という問題です。

ANA株を購入した後、株主優待として航空券50%割引券が届きました。しかし当時、飛行機に乗る具体的な予定はありません。「どこかに旅行に行かないといけないな」と考え始めました。

本来、旅行に行くかどうかは自分の気分や都合で決めるものです。でも優待券の有効期限が迫ると「使わないと損だ」という感覚が先に立ち、旅行を無理に計画しようとする自分がいました。

外食系の優待でも同じことが起きます。「このファミレスの優待券が来月までだから今週行かないと」「早めに使いきらないと期限が切れる」──こういった思考が積み重なると、投資がじわじわとストレスに変わっていきます。

本来の投資目的は「資産を増やすこと」です。それがいつの間にか「優待を使いきること」に目的がすり替わっていました。これが最初に気づいた違和感でした。

ちなみにANA株は、優待券を一度も使わないまま2022年12月に売却しました。約27.5万円の投資に対して売却益は約1.4万円。優待としての価値(航空券半額券1枚)はゼロでした。損はしていませんが、株主優待という「インセンティブ」はまったく機能しなかった投資です。

優待の種類によって「縛られ度」が変わる

ただし、すべての株主優待が「行動を縛る」わけではありません。自分が日常的に使っているサービスの優待なら、使うために特別な行動をしなくても自然に恩恵を受けられます。

「縛られやすい優待」と「縛られにくい優待」の違いをまとめると:

縛られやすい優待 縛られにくい優待
航空券割引(普段あまり乗らない) 普段使う通信回線の割引
特定飲食店の食事券(普段行かない) 日用品の割引・クーポン
テーマパークの入場券 電気・ガスなどインフラ系
カタログギフト(欲しいものがない) 普段使うECサイトのポイント

私の場合、保有していた銘柄の優待はほぼすべて「縛られやすい」タイプでした。楽天グループだけは通信(楽天モバイル)を日常的に使っていたため、この問題が起きませんでした。

やめた理由②:100株単位の縛りで分散投資が難しくなる

株主優待には、投資の効率を下げるもう一つの構造的な問題があります。1銘柄あたりに一定以上の資金が固定されてしまうことです。

多くの優待は「100株以上保有」が条件です。私が保有していた主な銘柄の最低投資額は以下のとおりです。

銘柄 取得単価 100株の投資額
ANA(9202) 2,751円 約27.5万円
タカラトミー(7867) 1,313円 約13.1万円
SPK(7466) 1,399円 約14万円
ヤマダHD(9831) 479円 約4.8万円

これだけで合計約59万円が「優待を維持するための最低ライン」として固定されます。同じ59万円をS&P500のインデックスファンドに入れれば、アメリカの主要500社以上に分散できます。

「株主優待で得られるモノの価値」と「分散投資の機会コスト」を比較したとき、株主優待を優先するメリットが薄いと感じるようになりました。

「株主優待を維持するために持ち続ける」という罠

株主優待目当ての投資でよく起きるのが、本来売るべきタイミングで売れなくなる問題です。

「優待を受けるためには100株持ち続けなければならない」という縛りがあると、株価が下がってもなかなか売れません。「もう少し持てば優待分は取り返せる」という心理が働くからです。

これは投資判断を歪める要因になります。本来、個別株の保有継続可否は「この企業の将来性はどうか」で判断すべきです。でも株主優待がインセンティブになると、「優待があるからもう少し持とう」という非合理な判断につながりやすくなります。

私が高配当株や優待株全般をやめた考え方についてはこちらも参考にしてください。
配当株投資をやらない理由:会社員投資家の判断基準

やめた理由③:管理コストが地味に積み重なる

person organizing financial documents and notebook at desk

株主優待をやめた理由の3つ目は、管理コストの問題です。優待株を複数保有すると、追わなければならない情報が一気に増えます。

  • 権利確定日:3月末・9月末が多いが銘柄によって異なる。この日までに保有していないと優待を得られない
  • 優待の使用期限:発送から半年〜1年の期限があることが多い
  • 優待廃止・変更のニュース:突然廃止されると株価が急落することがある
  • 各銘柄の株価・業績動向:個別株は企業ごとに確認が必要

1〜2銘柄なら大した手間ではありません。でも「せっかくなら他の優待も」と増やしていくと、気づけば5〜10銘柄を同時に管理することになります。投資に使える時間が限られている会社員にとって、この管理コストはじわじわと効いてきます。

近年は株主優待を廃止する企業が増えている

もう一つ注意が必要なのが、近年の株主優待廃止の増加です。

株主優待制度を持つ上場銘柄の割合は2022年以降、3年連続で減少しています(出典:三菱UFJモルガン・スタンレー証券調査)。背景にあるのは「株主への公平な還元」という考え方の普及です。

株主優待は日本株特有の仕組みで、少額投資家には魅力的ですが、海外機関投資家や大口投資家には恩恵が届きにくい。このため、優待廃止・配当への一本化という流れが続いています。

優待廃止が発表されると、「優待目当てで保有していた個人投資家が一斉に売る」ため、株価が急落するケースも珍しくありません。「株主優待目当てで買った株が廃止で暴落」という事態は他人事ではないリスクです。

管理コストと廃止リスクを総合すると、複数の株主優待株を保有し続けるのは、時間が限られる会社員には割に合わないと感じました。「得をするために手間をかける」のではなく、「手間をかけずに資産を増やす仕組み」を選んだほうがトータルでお得です。

余談ですが、投資における「なんとなく続けていた」コストは株主優待だけではありませんでした。保険でも10年・204万円を払い続けた末に全解約した失敗があります。同じしくじりパターンとして参考にどうぞ。
保険を全解約した話:10年で204万円払って気づいたこと

株主優待をやめた後の変化

株主優待株を手放し、資金をインデックスファンドに移した後の変化を正直に書きます。

一番大きな変化は、投資について考える時間が大幅に減ったことです。

個別株を持っていた頃は、決算発表の日・権利確定日・優待の有効期限・株価の動き……つねに何かをカレンダーで確認していました。毎月定額を積み立てるだけのインデックス投資に移ってからは、意識することがほとんどなくなりました。

「投資に時間を使わない」というのは、本業・副業・プライベートを両立させたい会社員にとって、見落とされがちな重要な要素です。私が株主優待をやめた理由を突き詰めると、「投資に使う時間と手間を減らしたい」という判断でした。

もちろん、個別株特有の「この銘柄を選んだ」という手応えはなくなりました。でもその代わりに、「読み外れたらどうしよう」という不安も消えました。心理的な負担が大きく下がった感覚があります。

インデックス投資に切り替えてからは「毎月決まった額を積み立てる」だけです。積み立て設定が完了したら、あとはほぼ何も考えなくてよい。これが「投資は仕組みで回すもの」という感覚の意味だと、実際にやってみてはじめてわかりました。

現在の私の投資方針についてはこちらにまとめています。
私の投資方針:個別株をやめてインデックスに絞った理由

それでも楽天株だけは残している理由

ここまで「株主優待をやめた」と話しておきながら、実は楽天グループ(4755)の株だけは今も保有しています。自分の投資方針に反していることは自覚しています。

楽天株を続けている理由は、楽天モバイルの株主優待がコスパ抜群だからです。楽天グループの株主には楽天モバイルの特別優待があり、日常的に使っている通信サービスで自然に恩恵を受けられます。「優待を使うために行動が縛られる」問題がほぼない、数少ないケースです。

ただし、このメリットも楽天モバイルの優待廃止や業績悪化が起きれば消えます。「いつかそのリスクが来るかもしれない」と思いながら、再設定の手間を考えてそのままにしているのが正直なところです。

楽天モバイルを4年以上使い続けている理由については、別の記事で詳しく書いています。
楽天モバイルを4年半使い続ける理由【デメリット込みのレビュー】

よくある質問

Q: 株主優待をやめた後、後悔しませんでしたか?

後悔はしていません。管理コストが減り、投資について考える時間が大幅に減りました。「優待を使わないと損」という心理的プレッシャーがなくなったことが最も大きな変化です。優待株ならではの「この銘柄を自分で選んだ」という手応えは薄れましたが、それ以上に投資の心理的負担が軽くなりました。

Q: 株主優待をやめるなら、どのタイミングで売るといいですか?

権利確定日の翌営業日(権利落ち日)以降に落ち着いて判断するのが基本です。権利確定前は株価が上がりやすく、権利落ち日には下がる傾向があります。優待を一度受け取ってから売却を検討するのが、損をしにくい順序です。

Q: インデックス投資と株主優待は両立できますか?

制度上は両立できます。NISAのつみたて投資枠でインデックスファンドを積み立てながら、成長投資枠で優待株を持つ組み合わせも可能です。ただし成長投資枠の年240万円をどう使うかは、自分の投資目的に合わせて判断するのがおすすめです。

まとめ:株主優待をやめた理由3つと「向いている人」の判断基準

私が株主優待をやめた理由を整理すると:

  • ①優待を使うために行動が縛られる:「使わないと損」という心理が投資の本来の目的を歪める
  • ②100株縛りで分散投資が難しくなる:まとまった資金が特定銘柄に固定されてしまう
  • ③管理コストが地味に積み重なる:権利確定日・使用期限・廃止リスクを追い続けるコストが高い

ただし、株主優待投資が向いている人もいます。

続けてもいい人:

  • 優待先のサービスを日常的に使っている(普段からよく行く飲食店、日常的に買う家電など)
  • 個別株の銘柄選びを楽しんでいる
  • 管理が苦にならない、または楽しんでいる

一度やめることを検討したほうがいい人:

  • 「優待を使わないと損」とストレスを感じている
  • 投資に使える時間が少ない
  • シンプルに資産を積み上げることを目標にしている

「なぜ投資をしているのか」を一度整理してみると、株主優待を続けるかやめるかの答えは自然と出てくるはずです。自分の投資スタイルと目的に合った方法を選ぶことが、長期投資を続けるうえで一番大切なことだと思います。

NISAを活用したシンプルな積み立て方法についてはこちらも参考にしてください。
新NISAで何を買っているか【S&P500一択の理由】

投資を始めるなら、まず口座を開設しよう

株主優待をやめてインデックス投資に移行するには、証券口座が必要です。手数料・使いやすさ・NISA対応を比較して、自分に合った口座を選んでください。

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※本記事は筆者個人の体験・見解に基づく情報提供を目的としており、特定の投資商品の勧誘や推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。

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