IPO投資をやらない3つの理由:手間に見合わない現実

資産運用

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IPO投資を試してみたけど、何度申し込んでも一度も当選しない。3社の口座を管理して、申し込み期間をカレンダーで追いかけて、それでも全落選。「この作業は何のためにやっているのか」という気持ちになったことはありませんか。

結論からいうと、インデックス投資家はIPOをやらなくていいと考えています。IPO やらない 理由は3つ。当選確率1〜2%という手間に見合わないコスト、申し込み期間中の資金拘束でインデックス積立が乱れること、2023年のルール変更後は公募割れが増えて「当たれば得する」という前提自体が崩れていること。

楽天証券・SBI証券・マネックス証券の3社でIPO申し込みを約1年続けて全落選した経験から、インデックス投資家がIPOをやめた理由を解説します。「自分はIPOをやるべきか、やらなくていいか」の判断基準が整理できます。

IPO投資を3社・1年試して全落選した経緯

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個別株投資を始めた頃にIPOという言葉を知りました。「当たれば損をしにくい投資」として紹介されることが多く、試してみることにしました。

IPOとは、未上場企業が株式市場に新規上場する際に一般投資家向けに株を公募する仕組みです(Initial Public Offeringの略)。上場初日の初値が公募価格を上回ることが多く、当選すれば初値売りで利益が出やすい投資法として知られています。

2023年頃から楽天証券・SBI証券・マネックス証券の3社でIPO申し込みを始めました。銘柄を事前に調べ、各口座に資金を用意して申し込みを繰り返しましたが、結果は全落選。1年ほど続けても1回も当選しないまま、申し込み自体をやめました。

今は楽天証券1社だけでNISA口座を使い、S&P500のインデックスファンドを毎月積み立てるシンプルなスタイルに移行しています。複数口座を管理していた頃の煩わしさが完全になくなりました。

理由1:当選確率1〜2%は手間に見合わない

IPO投資でまず直面するのが、当選確率の低さです。申し込んでも、当たりません。

一般に、IPOの当選確率は1〜2%程度と言われています。3社で1年間試みた実感でも、それに近い感覚でした。50〜100回申し込んでようやく1回当たるかどうかという水準で、人気銘柄は応募が集中するためさらに確率が下がります。当選確率1〜2%という水準は、投資戦略として組み込むには再現性が低すぎます。

複数口座で確率を上げようとすると、管理の手間が比例して増える

当選確率を少しでも上げる定番の方法が、複数の証券会社に口座を開設してそれぞれから申し込むことです。楽天証券・SBI証券・マネックス証券・松井証券・SMBC日興証券など、IPOに強いとされる証券会社が複数あります。

しかし複数口座を使うと、口座ごとに資金を分散入金し、銘柄ごとの申し込み期間内に各口座でそれぞれ手続きをする必要があります。1社あたり数分でも、3社まとめると15〜20分。事前の銘柄リサーチと当選発表後の確認まで含めると、1銘柄あたり1時間近い時間を消費することもあります。申し込み期間を見逃さないようにカレンダーを管理する手間も発生します。

私が3社で申し込んでいた期間は、毎月IPO銘柄のリリース情報をチェックし、各社のサイトにそれぞれログインして申し込む作業を繰り返していました。全落選が続くたびに「この時間は何だったのか」と感じていたのが正直なところです。株主優待株で複数銘柄の権利確定日を追いかけていたときと、構造がまったく同じでした。

時給換算すると、IPOの手間は本業より割が悪い

当選確率1〜2%として、5社から毎月申し込んでも年間1〜2回当たるかどうかです。近年の初値売り益は銘柄によって大きく差があり、数万円〜十数万円のケースが多く、数百万円のホームランはごくまれです。

項目 内容
当選確率の目安 1〜2%(50〜100回に1回)
年間当選回数の目安(5社申込) 1〜2回
近年の初値売り益の相場 数万円〜十数万円(銘柄による)
月あたりの管理時間(概算) 2〜3時間(調査・申込・確認)

年間24〜36時間の手間をかけて、年に1〜2回・数万〜十数万円の利益を狙う計算です。時給換算すると1,000〜5,000円程度で、決して効率のいい行動ではありません。同じ時間を本業・副業に使ったほうが、再現性の高い収入につながります。

理由2:資金拘束がインデックス積立の流れを乱す

calendar with lock

IPO申し込みのもう一つの問題が、資金の拘束です。申し込みから抽選結果が出るまでの間、購入予定額を口座に残しておく必要があります。

証券会社によって異なりますが、申し込み期間から抽選結果発表まで7〜14日程度かかるケースが多く、その間は資金を他の用途に使えません。複数銘柄・複数口座で申し込む場合は、タイミングが重なると相当な額が一時的に動かせない状態になります。

IPO待機資金は「運用されない死に金」になる

私がIPOを試みていた2023年頃、NISAの積立額は月3.3万円でした。当時は金額が小さかったため、IPO用の待機資金と積立が直接干渉することはありませんでした。

しかしインデックス一本に移行して積立額を増やしてから、あのころとは違う見方になりました。「IPO用の待機資金を別枠で常に確保しておく」という状態は、その資金が市場に入っていない時間を生み出し続けます。投資に回せる総額が同じなら、市場に入れておくほうが複利の面で合理的です。

インデックス投資の基本は「毎月コツコツ積み立てる」シンプルな仕組みです。資金の流れをできる限りシンプルに保ちたい場合、IPO申し込みによる一時的な拘束は小さくない障害になります。「いつ申し込むかもわからないIPOのために、資金を寝かせておく」という構造が、インデックス投資家としては割り切れませんでした。

機会コストという視点

資金が拘束されている間は、他の投資機会に使えない「機会コスト」も発生します。インデックス投資であれば、その資金を市場に入れておくほうが長期的には価値が生まれます。「当選するかどうかわからないIPOの抽選を待っている間、資金が市場の外に出ている」という状態は、長期投資家の視点では非効率です。

理由3:2023年のルール変更後、公募割れが当たり前になった

IPO投資の環境は、近年大きく変わっています。「当たれば必ず利益になる」という前提が崩れつつあります。

2023年、東京証券取引所はIPOの公募価格設定方法を見直しました。それまでは公募価格が実態より低めに設定されることが多く、上場後に初値が大きく跳ね上がることが多かったのですが、ルール変更後は現実的な価格水準に設定されやすくなりました。

その結果、初値が公募価格を下回って始まる「公募割れ」の銘柄が増加しています。下の表は年別の新規上場件数と公募割れ件数の推移です。

新規上場件数 公募割れ件数 公募割れ率の目安
2022年 91社 21件 約23%
2023年 96社 27件 約28%
2024年 86社 20件 約23%
2025年 66社 9件 約14%
2026年(1〜5月) 17社 8件 約47%

出典:新規上場件数はKPMG「IPO動向(上期および年間)」、公募割れ件数はkabutore.biz「公募割れIPOリスト」をもとに集計。2026年5月時点の数値は途中集計。

2023年は公募割れ件数が27件と最多になり、2026年は1〜5月だけで8件が公募割れ(公募割れ率47%)と、近年で最も厳しい水準が続いています。「IPOに申し込めば大体得をする」という状況は過去のものになりつつあります。

古いIPO情報をそのまま信じると、現実と乖離する

インターネット上には「IPOは当たれば必ず儲かる」という情報が今も残っています。しかしその多くは、2023年以前のルールを前提にした内容です。現在の市場環境でそのままの前提を信じると、期待とのギャップが生じます。

もちろん、今でも初値が大きく上がる銘柄はあります。しかし「初値売りで安定した利益を得やすい」という環境は以前より確実に変わっており、手間をかけてIPOに申し込み続けることの費用対効果はさらに悪化しています。

IPO投資をやめたら、考えることが一つ減った

IPO申し込みをやめてから、まず変わったのは「使う証券口座が1社に絞られた」ことです。

当選確率を上げるために3社の口座を維持していましたが、インデックス投資に集中すると決めてから、楽天証券だけで完結するようになりました。複数口座の残高管理・ログイン・申し込み手続きに使っていた時間と注意力が、そのままなくなりました。

管理する口座が減ると、「次のIPOはいつか」「あの口座に入金したか」といった小さな気がかりがなくなります。これはIPO固有の話ではなく、「管理すべきものを減らすと、頭の使い方が変わる」という話でもあります。株主優待で53銘柄を管理していたときも、銘柄ごとの権利確定日・クロス取引の手順・優待品の使い途を常に頭の片隅に置いていました。IPOも構造は同じで、「申し込むべき銘柄はあるか」「期間内に手続きできたか」という確認コストが毎月発生していました。

やめた直後は「もし当選していたら」という未練がないわけではありませんでした。しかし時間が経つほど、「毎月コツコツ積み立てるだけ」に意識を絞れる状態のほうが、自分のペースに合っていると感じるようになりました。投資に使う時間が減ることで、本業や副業に集中できる時間が増えたのは確かです。

私の投資方針全体については、こちらにまとめています。
私の投資方針:個別株をやめてインデックスに絞った理由

インデックスを積み立てれば、当たった企業のリターンも長期で取り込める

3つの理由とは別に、インデックス投資家がIPOをやらなくていい理由がもう一つあります。

上場した企業は、成長すればいずれインデックスに組み込まれます。

S&P500やMSCI ACWI(全世界株式指数)などのインデックスファンドを積み立てていれば、成長した企業は一定の基準に達した時点で自動的にポートフォリオに加わります。IPOの初値売りを狙わなくても、「その後も成長し続けた企業のリターン」は長期的に取り込める仕組みです。

IPO投資は「上場直後の短期的な値上がりを狙う」戦略です。インデックス投資は「市場全体の長期的な成長に乗り続ける」戦略です。この2つは目的が根本的に異なります。インデックス投資をメインにしている場合、IPOで短期利益を狙う必要はありません。むしろIPOに時間とエネルギーを使うことで、積立継続という「インデックス投資で一番大切なこと」が疎かになるリスクのほうが大きいと感じます。

補足すると、インデックス投資はIPO直後の利益をまったく取れないわけではありません。S&P500に連動するファンドを積み立てていれば、上場後に成長して指数に採用された企業のリターンは、その後の値上がり分をまるごと取り込めます。初値売り益のような即時の利益ではありませんが、「生き残って成長した企業だけを、結果として保有できる」という点では合理的な仕組みです。

よくある質問

Q: IPO やらない 理由はどんなものがありますか?

当選確率の低さ・資金拘束・2023年以降の公募割れ増加の3点が主な理由です。当選確率は1〜2%で、複数口座を管理する手間の割にリターンが安定しません。インデックス投資をメインにする会社員には、この手間は見合いにくいと感じます。

Q: IPOが向いているのはどんな人ですか?

銘柄分析が好きで、複数口座の管理が苦にならない人に向いています。また、インデックス投資の外側で一部の資金をアクティブに動かしたい人、IPO用の待機資金を別枠で確保できるほど資金に余裕がある人にも合っています。

Q: 一度も当選しないままIPOをやめても後悔しませんか?

後悔はありません。やめた理由が「当たらなかったから」ではなく「手間が合わないから」だったためです。仮に1回当選していたとしても、インデックス投資に集中するという判断は変わらなかったと思います。1回の当選は再現性のある戦略ではないからです。

まとめ:IPOをやらないと決めてからシンプルになった

私がIPO投資をやらない理由は次の3つです。

  • 当選確率1〜2%で手間が見合わない:複数口座の管理・申し込み作業のコストに対してリターンが不安定。時給換算しても割に合わない
  • 資金拘束でインデックス積立の流れが乱れる:待機資金を別枠で確保し続けることが、市場への投資機会を失わせる
  • 2023年以降、公募割れが増えて環境が変わった:「当たれば得する」という前提が崩れ、費用対効果がさらに悪化した

ただし、IPOが向いている人もいます。銘柄分析が楽しい、複数口座の管理が苦にならない、インデックス外でアクティブに動かしたい、そういう人にはIPOは合っています。ただし今の市場環境(公募割れ率が高水準)を前提に判断することが重要です。

「何のために投資しているか」が明確になると、自分のスタイルに合わない手間は自然に切れるようになります。私にとってはIPOがそれでした。IPOをやめた後は、証券口座を1社に絞り、毎月の積立だけに集中できています。

インデックス投資の口座をまだ開いていない場合は、以下から口座開設できます(口座開設・維持費無料)。

株主優待をやめた経緯と似た構造があります。
株主優待をやめた3つの理由:ANA株が教えてくれたこと

高配当株もやらない理由についてはこちらも参考にしてください。
高配当株をやめた理由|53銘柄管理してインデックスに一本化した話


※本記事は筆者個人の体験・見解に基づく情報提供を目的としており、特定の投資商品の勧誘や推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。

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