こんにちは、てぬき最適化ラボ管理人です。
「NISAとiDeCo、どっちを先にやればいい?」これ、投資を始めた頃に必ず一度はぶつかる疑問ですよね。
結論からいいます。所得税率が10%以上(年収の目安は500〜600万円以上)なら、iDeCoを優先すべきです。
なぜなら、iDeCoは掛金を拠出した時点で所得控除が効き、今年の税金が確実に減るからです。NISAの非課税メリットは将来の運用益にかかる税金がゼロになるというものですが、iDeCoは投資結果に関係なく「拠出した分だけ確実に節税できる」という確定リターンを持っています。
私自身は、2018年から会社の企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入していましたが、当初は制度を全く理解せず月1,000円だけ元本保証商品に入れているだけでした。まともに活用し始めたのは2023年に旧NISAを始めてからです。NISAについて調べる中で確定拠出年金の仕組みを正しく理解し、「これはちゃんとやるべきだ」と気づきました。
この記事では、NISAとiDeCoの違い、どちらを優先すべきかの判断軸、そして2026年の制度改正による変化まで、会社員が知っておくべきポイントを整理します。
NISAとiDeCoの違いを30秒でつかむ
まず、両制度の違いを整理しておきましょう。よく「どちらも非課税でお得」とまとめられますが、税制優遇の種類がまったく異なります。
一番の違いは「今の税金が減るか」
NISAは、投資で得た運用益(売却益・配当金)にかかる税金(通常20.315%)がゼロになる制度です。つまり、将来の税金が減る仕組みです。掛金を拠出しても、今年の税金は1円も変わりません。
一方、iDeCoは今すぐ税金が減ります。掛金の全額が所得控除の対象になるため、年末調整や確定申告で税金が戻ってきます。拠出した時点でリターンが確定している、というのがiDeCo最大のメリットです。
特徴比較表
| 項目 | NISA(新NISA) | iDeCo |
|---|---|---|
| 税制優遇のタイミング | 将来(運用益が非課税) | 今すぐ(所得控除)+将来(運用益も非課税) |
| 引き出しの自由度 | いつでもOK | 原則60歳まで不可 |
| 年間拠出上限 | 360万円(つみたて120万円+成長投資枠240万円) | 会社員(企業年金なし):月2.3万円 ※2027年1月から月6.2万円に引き上げ予定 |
| 口座開設・維持費 | 無料 | 金融機関によって手数料あり |
| 向いている目的 | 中長期の資産形成全般 | 老後資金の積立 |
なお、NISAとiDeCoは併用できます。どちらか一方を選ぶ必要はなく、優先順位をつけて両方活用するのが理想的な形です。
NISAとiDeCo、「NISAを先に」は万人向けではない

ネットで「NISAとiDeCo、どっちを優先する?」と調べると、「まずNISAから」という回答が多数派です。理由としては「いつでも引き出せる柔軟性がある」「手数料がかからない」「投資対象が豊富」などが挙げられます。
しかし、これは全員に当てはまる正解ではありません。
よく言われる「NISA優先」の理由
「NISA優先」が推奨される最大の理由は、iDeCoには「60歳まで引き出せない」という制約があるからです。住宅購入・子供の教育費など、老後より前に使うかもしれないお金をiDeCoに入れてしまうと、いざというときに使えません。
また、NISAは口座開設も維持も無料で始めやすく、つみたて投資枠なら対象商品も金融庁が厳選した低コストインデックスファンドに絞られているため、初心者でも迷わず選べます。これらの理由から、NISA優先論は「使うかもしれないお金をロックしないため」という安全策として一定の合理性があります。
それでもiDeCoを先にやるべき人がいる
ただし、所得税率が一定以上の人にとっては、iDeCoの節税効果の方が確実で大きいケースがあります。
NISAのメリットは「将来の運用益にかかる20.315%の税金がゼロになる」ことですが、これは運用益が出た場合の話です。元本割れしていれば恩恵はゼロです。
逆に、iDeCoの所得控除は投資結果に関係なく、掛金を拠出した時点で確実に税金が減ります。所得税率が高いほど節税額も大きくなるため、年収が一定以上の会社員にとっては、iDeCoの方が費用対効果が高いと言えます。
所得税10%がiDeCo優先の分岐点になる理由

では、具体的にどのくらいの年収からiDeCoを優先すべきなのでしょうか。その目安が「所得税率10%以上」です。
年収別・所得税率の目安
所得税は累進課税で、課税所得(年収から各種控除を引いた金額)によって税率が変わります。会社員の場合、大まかな目安は以下のとおりです。
| 年収の目安 | 所得税率 | 住民税率 | 合計税率 |
|---|---|---|---|
| 〜約500万円 | 5% | 10% | 15% |
| 約500〜700万円 | 10〜20% | 10% | 20〜30% |
| 約700万円〜 | 20%〜 | 10% | 30%〜 |
なお、住民税は一律10%です。そのため、所得税率が10%の人でも合計税率は20%になります。つまり、掛金の20%が節税効果として確実に戻ってくるということです。
節税効果の具体的な金額シミュレーション
iDeCoの会社員向け拠出上限は現在月2.3万円(年間27.6万円)です。この金額を拠出した場合の年間節税額を試算すると、以下のようになります。
| 年収の目安 | 合計税率 | 年間節税額(月2.3万円の場合) | 30年間の累計節税額 |
|---|---|---|---|
| 約400万円 | 15% | 約4.1万円 | 約123万円 |
| 約500〜600万円 | 20% | 約5.5万円 | 約165万円 |
| 約700〜800万円 | 30% | 約8.3万円 | 約249万円 |
特に、年収500万円以上の会社員が月2.3万円を積み立てると、毎年5万円超の節税が確実に得られます。これは運用益に関係なく発生する確定リターンです。
さらに、iDeCoは運用中の利益も非課税、受取時にも退職所得控除や公的年金等控除が使えるため、掛金の節税・運用益の非課税・受取時の控除という3段階の税制優遇を受けられます。NISAの「運用益非課税」の一段階と比べると、トータルの恩恵は大きいです。
例えば、iDeCoの受取時に「一時金」として受け取れば退職所得控除が適用されます。勤続年数20年以下なら1年あたり40万円、20年超なら1年あたり70万円が控除されるため、長期間積み立てるほど受取時の税負担も軽くなります。掛金を拠出している間ずっと節税でき、受け取る時にも優遇される。この仕組みを理解すると、iDeCoがいかにお得な制度かが実感できます。
iDeCoの「60歳まで引き出せない」は本当に怖いか

iDeCoを敬遠する理由として最もよく聞かれるのが「60歳まで引き出せないのが怖い」というものです。しかし、私はこれをほとんど制約として感じていません。
老後資金と生活費は口座を分けて考える
そもそも、iDeCoは老後資金を作るための制度です。つまり「60歳まで引き出せない」というのは、目的に沿った仕様であって、欠点ではありません。
私自身は、生活防衛費として現金で約150万円(生活費の約半年分)を常に手元に置いています。確定拠出年金やiDeCoに入れているのは、あくまでも老後まで使わない前提のお金です。
また、万が一まとまった資金が必要になった場合は、NISA口座の資産を売却すれば対応できます。iDeCoはロックされていますが、NISAはいつでも換金できるため、両方を持つことがリスクヘッジになります。
iDeCoに回す金額の決め方
iDeCoに入れる金額の目安は、「老後まで絶対に使わないお金」の範囲内に収めることです。具体的には、以下の3層で考えると整理しやすいです。
- 生活防衛費:月の生活費×6ヶ月分を現金で確保
- 中期目標のお金(住宅・車・教育費など):NISA口座に入れる
- 老後資金:iDeCo(または企業型DC)に入れる
この3層に分けてしまえば、「引き出せない」という制約は逆に「老後まで使ってしまわないための強制貯金装置」として機能します。特に意思力に自信がない人ほど、この強制ロックはむしろありがたい仕組みですよ。
2026年の改正でiDeCoはさらにお得になる

さらに、iDeCoは2026年に大きな制度改正が控えています。これからiDeCoを始める人にとって追い風となる内容です。
2026年12月から拠出上限が月6.2万円に
現在、企業年金なしの会社員がiDeCoに拠出できる上限は月2.3万円(年間27.6万円)です。しかし、2026年12月の法改正により(実際の引落しは2027年1月から)、この上限が月6.2万円(年間74.4万円)に大幅引き上げとなります。
また、加入可能年齢も現行の65歳未満から70歳未満に延長されます。定年後も働き続けながらiDeCoを継続できる期間が広がります。
ちなみに、2027年1月から月6.2万円を拠出した場合、合計税率20%の人で年間約14.9万円の節税効果になります。現行(月2.3万円)の約5.5万円と比べると、節税額は約2.7倍に跳ね上がります。
今から始める意味
「改正してから始めればいい」と思うかもしれません。しかし、iDeCoの所得控除は毎年の話です。今から始めれば今年分からすぐに節税効果が出ます。
なお、iDeCo公式サイトでも手続き方法を確認できますが、口座開設には1〜2ヶ月かかる場合があります。そのため、年末が近づいてから動こうとすると、その年の控除に間に合わないケースもあります。早めに手続きをしておくことをおすすめします。
私はこうやって新NISAと確定拠出年金を使い分けている
最後に、私自身の使い分けを紹介します。
私は個人のiDeCoではなく、会社の企業型確定拠出年金(企業型DC)を使っています。具体的な運用内容は新NISAポートフォリオの記事で公開しています。iDeCoとは別の制度ですが、所得控除の仕組みや「60歳まで引き出せない」という点は基本的に同じです。会社員の方は、まず自社に企業型DCがないかを確認することをおすすめします。企業型DCがある場合は、iDeCoより優先して活用した方が、手数料面でも有利なケースが多いです。
- 企業型DC:月5.5万円(老後資金専用)→ S&P500インデックスファンドで運用
- 新NISA:月30万円(つみたて枠+成長投資枠)→ 同じくS&P500インデックスファンドで運用
しかし、2023年に旧NISAを始めるまでは、確定拠出年金の中身を全然考えておらず、月1,000円だけ元本保証の商品に入れていました。2018年から加入していたにもかかわらず、約5年間ほぼ放置していたわけです。これは完全なしくじりで、今思えば相当もったいなかったと感じています。
NISAについて調べる中で確定拠出年金の重要性を改めて認識し、拠出額を上限まで引き上げ、運用商品もS&P500インデックスファンドに全額切り替えました。結局、両制度の使い分けはシンプルです。「老後のお金 → DC(またはiDeCo)」「それ以外の長期投資 → NISA」という2層構造にしておけば、制約も悩みもなくなります。
NISAとiDeCoの優先順位:3つのチェックで即決する
優先順位の決め方はシンプルです。以下の3つを順番に確認してください。
- まず、会社に企業型DCがあるかを確認する。あるなら先にそちらを最大限活用する
- 次に、所得税率は10%以上(年収500〜600万円以上)かを確認する。YESならiDeCoを優先する。確実な節税効果を先に取りに行く価値がある
- 最後に、60歳まで使わないお金を分けて管理できるかを確認する。生活防衛費(6ヶ月分)を現金で確保した上で、老後資金として回せる金額の範囲でiDeCoを活用する
また、NISAとiDeCoは併用が基本です。余裕があれば両方活用することで、今の節税(iDeCo)と将来の柔軟な資産形成(NISA)を同時に進められます。
さらに、2026年12月にはiDeCoの拠出上限が月6.2万円に引き上げられます。改正前の今から始めておくことで、毎年の節税効果を着実に積み上げることができますよ。まずは自分の年収と所得税率を確認するところから始めてみてください。源泉徴収票に記載されている「源泉徴収税額」を参考にすると、自分の税率が大まかにわかります。
※情報は2026年5月時点のものです。制度の詳細・最新情報は各金融機関や厚生労働省の公式サイトでご確認ください。
【免責事項】本記事は個人の体験・見解に基づくものであり、特定の投資や金融商品を勧誘するものではありません。投資に関する最終的な判断はご自身の責任で行ってください。


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